会社員として働いていると、毎年、勤務先から源泉徴収票を受け取ります。
私もこれまで何度も受け取ってきました。
ただ、FPを勉強する前の私は、源泉徴収票をじっくり確認したことがほとんどありません。
目につくのは、まず「支払金額」です。
いわゆる額面上の年収に当たる数字なので、
「今年はこれくらい働いたのか」
と確認する程度でした。
あとは、毎月の給与明細や銀行口座への入金額から、自分の手取りがどのくらいだったのかを見るくらいです。
正確には、源泉徴収票に手取り額そのものが記載されているわけではありません。源泉徴収票の主な欄には、支払金額、給与所得控除後の金額、所得控除の額の合計額、源泉徴収税額などが記載されています。
ほかに見ていたものといえば、自分が加入している生命保険の控除くらいでした。
それ以外の項目については、
「会社がきちんと計算してくれているのだろう」
と思い、深く考えていなかったのです。
FPの問題では、源泉徴収票を何度も読むことになった
その見方が少し変わったのは、FPの勉強を始めてからです。
FP2級のタックスプランニングでは、源泉徴収票に記載された情報を読み取り、所得や控除について考える問題が出てきます。
最初は、見慣れない数字が並ぶ書類にしか見えませんでした。
しかし、問題を繰り返し解いていくと、それぞれの数字が単独で存在しているのではなく、一定の順序でつながっていることが分かってきます。
大まかには、
給与として受け取った金額
→給与所得控除を差し引く
→所得控除を差し引く
→税率をもとに所得税を計算する
という流れです。
「支払金額」と「給与所得控除後の金額」は同じではありません。
さらに、そこから社会保険料控除や生命保険料控除、配偶者控除、扶養控除などが関係します。
以前は別々の専門用語に見えていたものが、FPの問題を解くことで、少しずつ一つの仕組みとして見えるようになりました。
家族構成によって控除が変わるのが面白かった
私が特に面白いと感じたのは、家族構成によって所得控除の内容が変わることです。
配偶者がいるか。
配偶者にどの程度の所得があるか。
子どもは何歳なのか。
扶養している家族に所得があるか。
こうした条件によって、適用される控除が変わります。
単純に「家族が多ければ控除も増える」という話ではなく、配偶者控除では納税者本人と配偶者の所得、扶養控除では扶養親族の年齢や所得などが関係します。たとえば、所得税では16歳未満の扶養親族に扶養控除はなく、年齢によって控除区分が変わります。
問題演習では、
- 配偶者の収入はいくらか
- 子どもは何歳か
- 誰が扶養親族に該当するのか
- どの所得控除を適用できるのか
を一つずつ確認していきます。
同じ給与収入であっても、家族の状況によって最終的な課税関係が変わる。
そのことを、問題を解きながら実感できました。
税金の話は堅苦しいと思っていましたが、実際には、その人の生活や家族構成が数字に反映されています。
そう考えると、源泉徴収票は単なる税金の書類ではなく、その人の一年間の生活の一部が表れた書類にも見えてきました。
もっとも、私がFPを勉強していた時点では独身です。
当然ながら、自分の源泉徴収票に配偶者控除はありません。
問題では配偶者控除や扶養控除を何度も計算するのに、自分にはほとんど関係がない。
このあたりには、少し笑ってしまいました。
それでも、将来自分の家族構成が変わったときや、誰かに制度を説明するときには役立つ知識だと思っています。
生命保険料にも「新制度」と「旧制度」がある
生命保険料控除についても、FPを勉強するまで詳しい仕組みを知りませんでした。
私は比較的最近、生命保険へ加入しています。
そのため、自分の契約は新制度の対象です。
生命保険料控除では、2012年1月1日以後に締結した契約が新契約、2011年12月31日以前に締結した契約が旧契約として扱われます。源泉徴収票でも、新生命保険料と旧生命保険料などを区分して記載する欄が設けられています。
新制度では、
- 一般生命保険料
- 介護医療保険料
- 個人年金保険料
の三つに区分され、それぞれの所得税における控除限度額は4万円、合計の限度額は12万円です。
一方、旧制度では一般生命保険料と個人年金保険料のそれぞれについて、控除限度額が5万円となっています。新旧両方の契約がある場合には、単純に限度額を足すのではなく、所定の方法で控除額を計算します。
ここで注意したいのは、4万円や5万円という数字は、年間に支払った保険料の上限ではなく、所得から差し引ける控除額の上限だということです。
私はFPを学ぶまで、
「生命保険に入っているから、何となく税金が少し安くなる」
という程度の理解しかありませんでした。
しかし、契約時期や保険の種類によって区分があり、支払った保険料に応じて控除額を計算していることを知りました。
毎年見ていた源泉徴収票の小さな記載欄にも、制度の違いが反映されていたのです。
年収を見る書類から、税金の流れを見る書類へ
FPを学ぶ前の私にとって、源泉徴収票は年収を確認するための書類でした。
FPを学んだ後は、見る場所が少し増えました。
- 支払金額はいくらか
- 給与所得控除後の金額はいくらか
- 所得控除は合計でいくら適用されているか
- 社会保険料はいくら支払っているか
- 生命保険料控除はいくらか
- 扶養や配偶者に関する情報はどう記載されているか
- 最終的にいくら源泉徴収されているか
もちろん、すべてを一目見ただけで説明できるわけではありません。
制度や数字を忘れていることもあります。
それでも、
「この数字は何を表しているのだろう」
「なぜ昨年と金額が違うのだろう」
「自分にはどの控除が適用されているのだろう」
と考えられるようになりました。
以前は見慣れない項目をそのまま読み飛ばしていました。
現在は、分からない項目があれば、調べるための手掛かりを持っています。
FP2級を取って源泉徴収票を完全に読めるようになったというより、源泉徴収票について疑問を持ち、自分で調べられるようになったという表現の方が正確だと思います。
源泉徴収票一枚にも、FPで学ぶ内容が詰まっている
FPでは、ライフプランニング、社会保険、金融資産運用、タックスプランニング、不動産、相続など、幅広い分野を学びます。
勉強中は、
「こんなに広い範囲を学んで、本当に役に立つのだろうか」
と感じることもありました。
しかし、毎年受け取る源泉徴収票を改めて見てみると、
- 給与所得
- 所得控除
- 社会保険
- 生命保険
- 配偶者
- 扶養家族
- 所得税
など、FPで学んだ内容が一枚の中に詰まっています。
以前から手元にあった書類なのに、勉強したことで見える情報が増えました。
これは、FPを学んだ効果を実感した出来事の一つです。
資格を取ったからといって、税金の専門家になったわけではありません。
制度は改正されますし、個別の状況については税務署や税理士などの専門家へ確認する必要があります。
それでも、毎年受け取る書類を何も分からないまま保管するのではなく、書かれている内容を少し理解できるようになった。
基本的なことかもしれませんが、私にとっては、FPを学習した甲斐を感じられる変化でした。
源泉徴収票一枚を見るだけでも、FPで学んだ知識は思っていた以上に生活とつながっています。


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